何をやってもうまくいかない無職のブログ

人生終わったニートの暇つぶしそれ以上でも以下でもない

ドーモ。ダークニンジャ=サン。ニンジャスレイヤーのアイサツは漫画界の暗黙のルールである。

ドーモ。読者=サン。無職ニートです。

この挨拶をご存じだろうか?

ニンジャスレイヤーという海外発祥の小説がある。それは外国人から見た空想の日本を舞台とした、バトル系の小説である。平たく説明をすると、主人公はニンジャで、敵もニンジャである。そして正義のニンジャである主人公と悪のニンジャ同士が戦うというお話である。ニンジャごとに特殊能力があるようで、能力バトルものに分類される作品である。

そしてニンジャ同士の戦いを始める前には、こういう掟がある。それはアイサツと言うものである。

dic.nicovideo.jp

ニコニコ大百科より

例え相手がロボニンジャであっても変態フィーヒヒヒであっても強敵であっても、対面した際のオジギとアイサツは不可欠であり、これらが済む前に攻撃を仕掛けることはスゴイ・シツレイにあたる。しかし、アイサツ前のアンブッシュ(不意打ち攻撃)が一度だけ認められ、これで死亡するようなニンジャは未熟であり、イクサに参加する資格すらないということになる。

わかりやすく箇条書きにすると・・・・・・

・ニンジャ同士で戦う際、まずお辞儀をして互いに自己紹介をしなければならない

・相手がニンジャなら、どんな相手でもやらなくてはならない

・不意打ちは一回だけなら認められている。

ちなみにこれをやらないニンジャはスゴイシツレイに当たり、ムラハチという制裁を受けるらしい。

 

こうしてみると、まさに日本の文化を誤解した意味不明なルールに見える。しかし私は、このニンジャスレイヤーのアイサツの掟は、実はかなり理にかなっていると考えた。

 

お互いに自己紹介をするという意味

普通に考えれば、緊迫した戦いの中で、わざわざ挨拶をするというのは自殺行為であり、無駄な行動であるように見える。日本では鎌倉時代、名乗りを上げてから一騎打ちをするという作法があったが、それを誤解しているようにも思える。だが、よく考えてみて欲しい。ニンジャスレイヤーのこれは現実の戦いではなく、能力者のバトルものである。そういう視点で見てみると、この挨拶はむしろ正当なしぐさなのではないかと考えてしまう。

そもそもなぜバトルの前に名乗り合うのか?それはお互いの自己紹介のためだと思える。だが違う。このアイサツというのは、実は戦っているキャラクター同士ではなく、読者に向けて言っているのだ。

 

自己紹介は読者のため

そもそもバトルもの、特に能力系のバトル作品と言うのは、まず主人公側の能力、そして敵対している相手の能力、両方を読者が認識する必要がある。さらに、相手がどれくらいの実力を持っているのかをやはり読者が把握できなければならない。なぜなら、ただ無言や説明不足で戦いが始まった場合、そして倒したりした場合、相手が強かったのか弱かったのか見ている方はわからないからだ。強いのか弱いのかも分からない敵を倒したとしても、それが凄い事なのか大したことない相手だったのかわからない。特に不意打ちで出オチのように倒した場合、単なる間抜けにしか見えない。

だからニンジャはお互いに自己紹介を行うのだ。自己紹介を行うことで、敵がどういう地位にいる人物か、強さの格はどれくらいのものなのか、戦う前に読者が知ることが出来る。相手が強いと知っていた場合、その敵を打倒したとき、感動も大きくなる。

こう考えると、このアイサツで一番得をしているのは、主人公でも敵でもなく、読者であるとわかる。

 

ニンジャスレイヤー以外の漫画でも自己紹介は当たり前。

こういった自己紹介は、実は他の普通のバトル漫画でも一般的に行われている。特にキャラクターが多い漫画では自己紹介は必須事項であると言ってもいい。なぜならすべてを開設するとページが足りないしテンポも悪くなるからだ。

例えばワンピースは新キャラが出た場合、「懸賞金」「通り名」「所属」と「名前」が表示される。さらに能力が表示されることもある。ワンピースは登場人物が異様なほど多い漫画なので、こういった表現をするのは自然だろう。

別にワンピースでなくても、ほとんどのバトル漫画は戦う前にお互いの自己紹介を自然と行っているはずだ。鬼滅の刃も「柱」だったり、「十二鬼月」だったりと、戦う前にそれぞれの実力が肩書だけでわかるような仕組みになっている。気づいたら知らない奴に後ろからやられていた!みたいな複数の対戦ゲームの結果とは違い、バトル漫画とは互いに姿を見せてバトルをする。何故か、不意打ちだけで決まったりするのはつまらないからだ。正直、読者が萎える展開だ。卑怯なキャラもいたりするが、そういったキャラクターも正面からわかりやすく卑怯な真似をする。ガチでギリギリまで隠れてて不意を突いて勝つなんて本当に卑劣な真似はしない。ゲームでは正しい行為だが、バトル漫画ではやっちゃあいけない行為だ。本当に白けるからマジやめて欲しい。

 

アイサツ前のアンブッシュ(不意打ち)についても合理的

それでいて、ニンジャスレイヤーにはアンブッシュ(不意打ち攻撃)が一度だけ認められている。つまり一回は自己紹介の前に攻撃してもいいと言う事だ。これもまた、結構考えられていると考察できる。

主人公や敵が、自己紹介もせずに不意打ちで一瞬で倒していい相手と言うのがバトルものにも存在する。それは物語上大して影響のないモブだったり、もう絶対戦いについていけないことがわかっていて、役割が済んだ置いて行かれたキャラだったりする。そういった戦闘シーンを用意するまでもないショボい争いの場合、正直見ててもつまらないので、さっさと処理することは読者としても歓迎である。北斗の拳のモヒカンに一々名乗ってたらテンポが悪すぎる。影響しない雑魚なら正直秒殺しても何の文句はない。どうせウロチョロされてもどうせできることが無いんだし、とっととやられるか逃げ出していてもらいたい。

 

結局私が言いたかったこと

ここまで語って私が言いたかったのは、面白いバトル漫画と言うのはお互いに名乗り上げを行うと言う事である。また一見すれば、名乗り合っていない戦いもあるが、それは別のキャラが代わりに答えたり、前の戦いのときに知り合いになってたりと、お互いの情報をきちんと把握し合っており、読者もそれを理解していると言う事である。

名乗り上げと言うのは古臭い昔の武士の作法に見えて、フィクションのバトルものの中では、むしろ現役であり、これからも残っていく作法であろう。