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ワンピースの真似をしてはならない

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今回日本でも有名な大人気ジャンプ漫画である、ワンピースについて話してみたいと思う。

現在その人気は「鬼滅の刃」に押され気味だが、それでもジャンプ、いや日本を代表とする漫画であることには変わりない。

今現在ワンピースではワノ国編となっており、今までの伏線が回収されており、さらに四皇という世界のトップの一人であるカイドウとの戦いが始まり、ワンピースファンとしてはクライマックスを迎えた盛り上がりどころである。

まぁワンピースの現時点での内容については、別に自分が語らなくても腐るほどファンたちが考察したりしていると思うので、ならば私はワンピースというマンガの作品としての仕組みや構成について分析してみることにした。そうして一つの答えが出た。

それは、もしこれから漫画を描きたい人がいたりするのなら、ワンピースのような作品は目指さない方がいいと言う事だ。それは何故か。その理由をこれから説明したい。

 

ワンピースは他の漫画と比べても登場人物が非常に多い。いや多すぎる。

ワンピースと言う作品を読んだとき、他の同じバトル系の漫画と比べた場合、特徴的なのはそのキャラクターの数の多さである。そう、とにかくキャラクターが多い。しかもワンピースは大した活躍をしないモブキャラですら、細かい設定があったりする。そしてそれがワンピースの魅力の一つでもある。さらにそれぞれのキャラクターに伏線とかがあったりもして、それがまた考察しがいがあったりする。

だが考えて欲しい。漫画において登場人物が多いというのは、本当に喜ばしい事なのだろうか?

 

キャラクターが多ければ多いほど、一人一人に描ける内容が少なくなる。

キャラクターが多いというのは、実はこの大きな欠点があるのだ。キャラをいくら増やしたところで、結局は漫画と言うのは1ページのコマの最大数が決まっており、さらに一話当たりのぺージ数も上限がある。大体一週間で20~30ページくらいだと思う。そして、そのページ数の中で、登場人物たちは活躍したり何かしらのアクションを起こさなければならない。キャラ数が多ければ多いほど、一人のキャラに当てるページ数、コマ数は限られてしまう。だから、キャラが多いというのは一見してスゴイように、いや実際凄いのだが、もし何も考えずに増やしてしまうと、単純にキャラクターの中身が薄まってしまうという問題がある。ワンピースの大きな世界観と組織とキャラ数を安易に真似ようとすれば、痛い目にあうだろう。

ではなぜワンピースはキャラクターを増やしても問題は無いのか?

このようにキャラクターを増やせば一人当たりの行動がページ数と言う現実的な問題として、制限されてしまうデメリットがあることを説明した。しかし、ワンピースはそれでもうまく出来ており、人気作品としてのクオリティを上げている。それは何故だろうか?

理由は簡単!尾田栄一郎先生の才能が凄いから、ふむ、たしかにその一言で片づけるのは簡単だが、私はきちんとワンピースがなぜ成功できているのかをきちんと分析してみようと思う。

キャラが多くても大丈夫な理由

まずその理由を見つけなければならない。普通の作品で、ひたすらキャラクターを増やしていくとどうなるか?答えは簡単、どうでもいいキャラクターだらけになり、作品の内容が薄くなってしまう。そしてつまらなくなって打ち切られる。それが普通だ。

しかしワンピースはその事態を回避している。それどころかキャラクターを増やし続けているのにも関わらず、人気を維持している。謎だ。特にワンピースは基本的にキャラの死が少ないタイプの漫画なので、減ることはめったにない。それでもうまくいっている。やはり謎だ。

なぜワンピースのキャラクターは増えても増えても高いクオリティを保っていられるのか。

それを考えたとき、実はこの作品は、一見するとバトル漫画だが、実はバトル漫画のルールから外れているような部分があることに気づいた。そこをこれから述べていきたいと思う。

 

ワンピースはバトルものというよりはむしろギャグマンガの構成に近い

私が気付いたところはこれである。ギャグマンガ的な構成とはどういうものか、今から説明する。

それは主人公が新たなゲストキャラと絡んで、そのゲストキャラとの絡みで笑えたり変な出来事が起きて、最後は上手くいったりオチが付いたりして話が終わる。

そう、一つの話にオチが付くというのがギャグマンガの基本だ。何かがあって、主人公が振り回されたりして(もしくは主人公が暴走して)最終的にオチが付いて終わる。このように小さくまとまっている出来事を、キャラクターを変えたりして起こすのがギャグマンガである。

ではワンピースを見てみよう。ワンピースには確かに、多くのキャラクターが出てくる。だが、ルフィたちの周辺に出てくるキャラクターたちはみな、彼らそれぞれの島や国で問題が起きて困っている。そこでルフィたちが住民と仲良くなって、一緒に悪者を倒して終わる。そしてルフィは新しい冒険へといく。

ギャグマンガと言うよりは、水戸黄門とかそういったものに近いかも。まぁともかく、ワンピースでは一度出会ったキャラクターたちは、次の島に行くとき、当然だがさよならする。そして島であった人物は、自分のキャラとしての魅力を島の中で出し切っていく。それからは当分出てこない。これでキャラのリセットを行っているのである。

 だからいくら新規で個性的な登場人物が現れようが、島を出ればもう当分登場することはないので、読者はルフィ周辺だけに注視してればいい。こうやってキャラを自然とフェードアウトさせることで、キャラが多すぎて困るという問題をなんとか解決している。

だがらもし、あなたがキャラがたくさん出る漫画を描きたいときは、ワンピース並みにただ出すだけでは破綻すること間違いなしなので、何かうまい理由を付けて主人公と別行動やらをさせた方がいいと思う。これが私が、キャラクターを増やしすぎるのは危険だという意見だ。

 

大量の複線回収、これもまた、ワンピース以外はするべきではない。

 ワンピースには伏線と言うのがあり、それが長い期間後に発覚し、盛り上がっていく。ワンピの魅力と言えば張り巡らされた伏線と言う人も多いだろう。だが、ここにも大きな落とし穴がある。

伏線は張った時点では何でもない、取るに足らないモノなのである

伏線は回収されたときは面白い。しかし回収されない伏線と言うのはどうでもいいことである。むしろページの邪魔でもある。そして伏線と言うのは、一度張っておくと、回収されるのは10巻以上後だったりする。正直に言おう、ワンピースのような何年後も連載が確約されている人気漫画ならばいいかもしれないが、その他の普通の漫画は打ち切りの恐怖や単行本売上の数字などの影響で、数年後も連載継続できているかどうかはっきりと言えるのは難しいだろう。そしてその悪い予感が的中し、打ち切りを食らってしまったら、それまでに巻いていた伏線は全てゴミになる、もしくは最後にいきなり怒涛の勢いで回収されたりする。そう、ソードマスターヤマトのように。

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正直、この強引な複線回収は面白いわけではない。もはやヤケクソと言った方が近い。つまらないもしくはギャグにしかならない。

ほとんどの連載作家は、打ち切られる恐怖がある。ワンピースのようにたくさん伏線を張れるのは、そもそも選ばれし漫画家だけであることを知るべきである。そういった普通の作家は、むしろ伏線は長く寝かさずに、すぐに回収した方がいいだろう。

 

そこで、ワンピースの本当の魅力とは何なのだろうか?

今まで私は、ワンピースの魅力はキャラクターの多さであり、伏線が回収されていく世界観でのフラグ管理の見事さにあると説明してきた。しかし、まだ根本的な答えをだしていない。

それは、なぜワンピースは人気売れるのか。である。

キャラが多いから、伏線が凄いから、いやそれはあくまでサブ的な要素であり、ワンピースの一番の魅力ではない。だから私は、ワンピースと他のバトル漫画を分ける決定的違いやワンピースが特化している部分を考え出してみた。

そして出た結論がこれだ。

 

ワンピースは泣ける

これだ!私はようやくワンピースの真の魅力にたどり着いた。そう、ワンピースの世界構成やキャラクターの立ち振る舞いは、お涙頂戴の感動話で成り立っている、そしてその繰り返しなのだ。

ここが、他のバトル漫画との決定的な違いだ。確かに、他のバトル漫画でも泣けるシーンはある。だがワンピは、明らかに確信犯で、全ての島々で起きた戦いで泣けるシーンを作ろうとしている。そう、とにかく泣けるに特化したのがワンピースの構成なのだ。

ルフィが島にたどり着くと、とんでもないクズの権力者がいて、そこに迫害された人間がいる。彼らを救うのがルフィたちの役目だ。迫害された人間が自分の仲間だったりもする。と言うか初期はそれが多い。そして読者は迫害されている人に同情し、ルフィと同じ気持ちになり、敵を倒してスカッとするのだ。

そう、ワンピースとは基本弱いものを助ける勧善懲悪ものである。そしてバトルは二の次だったりもする。またこの泣けるストーリーを補完するために過去の回想が多い。ワンピースに回想が多いという意見があるが、それももちろん、読者を泣かせるために描かれているのである。いかに苦労した人生を送ったのか、そういった部分を際立たせるのに過去の回想ほど 効果のあるものはない。

さらにこの泣ける話を考えるというのは、キャラクターが増えすぎるという問題もまた解決できたりする。新キャラが出てきた場合、彼らの回想を見ることで、彼らもまた苦しんでいたり困っていることがわかる。だから出たばかりの新キャラにも愛着がモテる、少なくとも同情心は芽生える。こうして読者もちゃんと新キャラの事を覚えようとしてくれるのだ。そして無事ワンピースを読んで感動して泣けた人間は、続きが気になって買ってくれる。これで伏線を引き延ばしても問題ない。そう、こうして勝利の方程式が出来上がっているのだ。これがワンピースと言う作品の設計書だ。

 

そう、ワンピースはいろんな要素がかみ合ってできた、奇跡のような作品である。

結局私がいいたかったのは、こう言う事である。ワンピースにはキャラが多い、伏線も多い。これは最初に言った通り、普通の漫画ならあまりいい事とは言えない。だが、ワンピースの作者である尾田先生は、そこに「泣けるお話」と言う基本展開を作ることで、キャラが多くても伏線が多くても読者が付いてこれる作りにした。

だから新人漫画家は、ワンピースを作るのにはただキャラクターや設定やら伏線やら目立つ部分に目を向けるだけでなく、「泣けるストーリー」という純粋な物語の要素を学習する必要があるのではないと思う。それが、私がワンピースがここまで売れた漫画になった理由だと思うのである。

 

PS追伸

最近のワンピースが過去ほど人気がいまいち出ないのは、そのワンピース内の「泣けるストーリー」が少し読者とズレているからでは無いかと思う。昔のような純粋な悪と善人の話ではなく、仁義やらそういった任侠要素がでて、それはやはり一般の人にとってはなじみが無いので、まぁそういったところが上手くかみあわないんじゃないのかなあとか思ってたりしますね。